*「Valentine Flavor」*
presented by ruirui thanx so mach!


 次の島を目指して進むGM号は夏島特有の軽く暖かい気持ちの良い風に吹かれながら、ゆっくりと夜の波間を漂っていた。
 大きな月が浮かぶ穏やかな波が優しく眠りを誘う。
 しかし海賊船である以上、いや普通の航海船だとしても夜番だけは欠かせない。
 夜半を過ぎてはいるが快適な夜の見張りにウソップはご機嫌だ。
 波も風も穏やかでグランドラインといえども落ちついていられる夜だ。
 ナミだって「今夜は心配ないでしょう。天候も気候も安定してるし」と太鼓判を押したほどだ。
 うんうんと頷いているウソップに
「でも海王類は出るかもね」と釘を刺すことは忘れなかったけれど。
 明日の仕込みをしているサンジ以外は皆寝静まっている。
 風が気持ちいいのでどこの窓も開けっぱなしだ。
(こんないい夜も久しぶりだよな)
 明るい月夜は気持ちまで浮き立たせるようだ。
 静かな水面が月光に照り映えて金色に輝くのが美しい。
 昼間に作りかけていた新作火薬星を月明かりで完成させるべくいそいそと卵の殻に調合済みの火薬を詰めていく。
 常に無い程調子よく進む作業に鼻歌のひとつも出そうなくらいだ。が、
「っう…うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 絶叫がGM号に響き渡った。
 静寂は、ルフィ海賊団とはとことん縁遠いものらしかった。

「なんだなんだ?」
「どうしたの?!敵襲?…じゃないわよね」
「あれは船医さんの声じゃなかったかしら」
 キッチンと女部屋から慌てて出てきたサンジ、ナミ、ロビン。
 ウソップも状況がわからないので見張り台から降りてきて
「男部屋からだったよな、行ってみよう!」
 と率先して階段を駆け下りた。
 男部屋の前からはまだ引きつるような悲鳴とも泣き声ともつかない声が洩れ聞こえてくる。
「どうした?!」
 仲間の危機かと勢い良くドアを開けるとそこにはハンモックの上でまだ寝ぼけているルフィと膝の上にがたがたと涙目で震えるチョッパーを抱えたまま困惑気味のゾロがいた。

「今の声はチョッパーか?どうした?」
 危険状態ではない事で安心したウソップが部屋の中に進みながら声をかける。
 後ろの3人も続いてチョッパーを取り巻いた。
「あ…あの…ご、ごめん。みんな、騒がせて……」
 がたがたと怯えきって、それでも仲間に迷惑をかけた事を詫びるチョッパーだが、そんな心細げな様子はかえって皆の心配を煽る。
「いいのよ、チョッパー。でも、どうしたの?何をそんなに怖がってるの?」
 そうっとナミが膝をついて目線を合わせて問うてくる。
 優しい声音に今だに自分がゾロにしがみついていた事に気がついたのか、わたわたと離れようとしたがぽんっと頭の上に大きな手のひらが降りてきた。わしわしと帽子ごと暖かな手で撫でられ続けてようやく少しずつ気分が落ち着いてくる。ほうっと息をついて、周りを見まわし誰も怒っていない事に安堵して。
 ようやくチョッパーは、ほんの少し声を小さくして告げた。
「……怖い夢、見ちゃって……」

 いつもならここでルフィやウソップが「なんだなんだ夢かぁ?!怖がりだな、そんなもの怖がってたらこのグランドラインで海賊としてやっていけないぞ!」とかなんとか騒がしく囃し立てたり茶化したりするのだが今回は別だった。
 ゾロ以外は皆して一様にばつの悪い表情を浮かべている。
 中でも一番申し訳なさそうな顔をしているのはロビンだった。
 いつもは穏やかで優しい彼女なのだが責任を感じているのだろう。

 発端はこうだった。
 いつものごとく昼食時。賑やかにランチタイムを終え、食後のお茶を楽しみながら雑談をしていたのだ。
 チョッパーはナミの蔵書から古い航海日誌を借り受け、それをロビンに読みあげてもらっていた。日誌が大きかったので彼1人では少々読みづらかったし、未読だったロビンも快く引き受け音読していくそれにチョッパーが感想を述べたり質問を挟んだりしている。傍では他のメンバーもそれを聞くとはなしに聞いていた。航海日誌自体はイーストブルー時代に手に入れたこれと言って目新しいものではなかったのだがその中の一文にチョッパーは非常に興味をそそられた。
「『怪談』て、なんだ?」
 日誌には『酒宴の際に興が乗り一同競うようにして怪談話で盛りあがった』というようなありきたりの文章しか載っていなかったのだが『怪談』というものをチョッパーは知らなかったのだ。
「怖い話のことよ」
「怖いってどんな?」
 ロビンの簡潔な答えに興味深々でまた尋ねる。
「例えば狙撃手さんが話してくれるような見たことも聞いた事も無い怪物の話だとか」
「うんうん、他にもあるのか?」
 ふふーん、と得意げに鼻を高くするウソップときらきら瞳を輝かせているチョッパーを楽しげに見つめながら
「他には、そうねぇ。船医さんだったら血まみれの話とか痛い話は怖くはなさそうだ
し」
「それは…病気や怪我で辛そうな話は嫌だな。でも怖くはないぞ!」
 怖くない、と言えたことが嬉しいのだろう。にこにこしている彼は有能な医師なのだ。この船には殊に怪我人が多いしスプラッタには慣れっこと言えば言える。
「後はやっぱり、妖怪や幽霊の話かしら?」
 周りで会話を聞いていたメンバーにも話を振ってみる。
「そうだな、『もったいないお化け』って知ってるか?」
 シンクで皿洗いをしながらサンジが面白そうに話しかければ
「『猫又』っていうのもいるわよ」
「『吸血鬼』の話はどうだ?」
「なぁなぁ『ゾンビ』って知ってるか?墓から起き出してくるんだぞ!」
 とナミ、ウソップ、ルフィまでもがそれぞれ持ちネタを出してきた。
 うわぁうわぁと好奇心旺盛なチョッパーは一つ一つの話をねだり、GM号も怪談話に興が乗り始めてきた。
 そんな中1人だけ話に乗ってこない未来の大剣豪はというとソファの上で惰眠を貪っていたのだった。

 何時の間にか怪談話は午後のお茶の時間にまで続き、サンジ、ナミ、ウソップ、ルフィと一巡り怪談を(何故か明るく)話していたのだが
「ロビンは?色々話を知ってるから珍しい『怪談』も知ってる?」
 皆が自分の為に話をしてくれるのが嬉しくて嬉しくてしょうがないチョッパーはある意味この船で一番かもしれない博識の考古学者に話を持ちかけた。
「知らない訳ではないけれど」
 と少し困ったような表情を彼女が浮かべれば
「聞きたいなぁ、ロビンちゃん」
「話して話して!」
「いいじゃねぇか、今度はロビンの番だ!」
「ししししし、どんな話かなぁ!」
 と、皆が促すので淡々と語り初めた。
 …それを聞きたがった一同(一人を覗く)が後悔し始めるのにはものの5分とかからなかったのだが。

 誰だって話をしろと言われれば自分の中で一番インパクトのある話を思い浮かべるのが普通というものである。
 そして彼女は考古学者で民俗学的な知識も豊富だ。話し方も落ちついていて表現力も豊かでリアル。
 そんな彼女が淡々と…あくまで淡々と『怪談』を語るのである。
 暖かな日差しの差しこむ穏やかなGM号の午後のお茶の時間。
 それが一気に血も凍るような空間に変わっていったのであった…。

 サンジもナミもウソップも。(ルフィだけは面白がっていたようだが)
 内心(も、もういい。これ以上聞かせないで!)と思ってはいたが話し手が上手いものだからどうしても気になって
「…そ、それから…?」
「か、彼女はその時どうなってたのよ…」
「一体どうやったらそんな事が…いや幽霊だしな…」
「うわー、会ってみてぇそんなの!」
 と話を続けさせる事になってしまっていた。
 一方ロビンはロビンで皆が一様に青褪めている事に気がついてはいたのでこの辺りで話を打ち切った方がいいかと思っていると先をせがまれるので結局最後まで同じ調子で語ってしまっていた。

 結果として聞き終わるや否やロビンに礼をいうのもそこそこに一同揃って全速力でキッチンの外に飛び出していた。
 うららかな日差し、柔らかく暖かい風、明るい広々とした空間を肌に感じてようやく、はーっと全員同時に息を吐いた。
「いやぁ怪談を話すロビンちゃんも素敵だが…まいった」
 と苦笑気味のサンジ。
「あー、夜でなくて良かった!」
 既に明るい表情に戻ったナミ。
「こ、怖かった…」
 今だ青褪めた表情だが今度誰かに話してやろうと既に内心で脚色を始めたウソップ。
「おっもしろかったなー!」
 皆が走り出すのでついてきただけのルフィ。
「あ、あんなのもいるんだな……」
 しっかりとルフィの足にしがみついているチョッパー。
 それぞれに感想を交わしその場で『怪談』騒動は終わったはずだった。
 しかし感受性の強いチョッパーは自分でもそれと知らぬうちに恐怖の種を胸の内に残していたらしいのだ。

 ゾロ以外のメンバーは皆共犯でもあった。
 自分のせいでチョッパーを怖がらせてしまったという意識が重い。
 ロビンが前に進み出てナミと入れ替わり同じようにその場にしゃがみ込んだ。
「ごめんなさいね。そんなに怖がるとは思わなくて」
 申し訳なさそうに謝意を述べるが
((((いや、怖ぇだろあれは!))))
 と後ろの4人は心の中でツッコんだ。
「でもあれは架空のお話だから。本当にあった事ではないのよ」
 ゆったりと頬を撫でてくれる手は優しくて。
「う…うん。わかってるんだ、ありえないって…でも…」
「でも?」
 瞳をじんわり潤ませてじっとロビンを見つめてくるチョッパーはいたって真剣だ。
 いったいどんな怖い夢を、と皆もチョッパーを見つめる。
 夢だよ、大丈夫。と声をかけようともしたのだが先に思いきった様子のチョッパーが早口で喋り出した。
「暗い森を歩いてるとねっ、血まみれで逆さ釣りのドクトリ―ヌが包丁持って笑いながら凄い勢いで追いかけてくるんだ!」
(((((……怖っ!!!!))))
 ゾロまで含んだ全員が戦慄した。
 ロビンはドクトリ―ヌを直接には知らないがナミから話は聞いている。
 チョッパーの医学の師匠で親代わり。豪胆だが情の深い素敵な女性という印象が強かった。
(そんな大切な人が例え夢の中とは言えそんな風に登場してしまうなんて)
 ロビンが自責の念にかられている周りではもっとリアルに想像している者達がいた。
(こ、怖いわよそれ)
(なんでまたよりによってDrくれはなんだよ)
(やっぱアレか?無意識の内に一番恐れているものが表れたとか)
(やー、たんにバーサンに会いたかったんじゃねぇの?それにしてもスゴイよなー、チョッパーは)
 一部勘違いな船長の感想も混じっていたがそれにしても怖いだろう。
 チョッパー本人にしてもそんな夢を見てしまってドクトリ―ヌに申し訳無い気持ちでいっぱいだ。それに、やはりどうしているだろうと気にならないはずが無い。まさかあの人に限ってはとも思うのだが
「ドクトリ―ヌ…大丈夫だよね。怪我とか病気とか…してないよね……」
 俯いて今にも泣き出しそうにチョッパーが呟いた。
「そりゃー大丈夫だな!」
「怪我や病気は治しても自分が患者になる人じゃないわ」
「あのバーサンならそんな心配はするだけ無駄だ」
「あと100年は軽く生きるだろうな」
「心配いらないわ。それはただの夢よ。夢見が悪かっただけ」
 口々に即答が返るのでチョッパーの方が吃驚した。
「な、なんでわかるんだ?」
「「「「だってあのDrくれはだから!」」」」
「あなたの師匠なんですもの」
 なんだか皆、俺よりドクトリ―ヌの事わかってるみたいだ。
 少し寂しいような嬉しいような不思議な気持ちでいるとふわん、と甘い香りが漂ってきた。とても微かな香りだったけれど。
「じゃぁチョッパー、今夜は俺と一緒に寝ようぜ。どんな化物が来ても大丈夫だ。
バーサンが怪我してたらチョッパーが治してやればいい!」
 明るくルフィがそういうと周りの皆もほっとしたように賛同する。
「そうね、それがいいわ」
「ルフィが一緒なら怖くないだろ、チョッパー」
「船長さん、よろしくね」
「ルフィ頼んだぞ!俺は見張りをしててやるよ」
 皆が笑顔で自分の事を心配してくれる。怖くないようにって気遣ってくれる。
 チョッパーはそう思うと踊り出したくなるくらい嬉しかった。さっきまで怖かったのが嘘みたいだ。
 ゾロの大きな手でハンモックに移動したらいきなりルフィがきょろきょろと辺りを見まわした。
「サンジがいねぇな。どこいった?」
「え?さっきまでそこにいたわよね?」
「何時の間に出ていったんだ?」
「どうしたのかしら」
「何してやがんだあのクソコック」
 いぶかしむ声に答えるようにコンコン、とドアがノックされた。
「ここにいんだよ、アホマリモ。チョッパーこれ飲みな」
 ふわっと甘い香りが強くなった。サンジが差し出したマグカップにはマシュマロ入りのココアが湯気をたてている。鼻をくすぐる香気にくしゃんとくしゃみが出てしまった。
「流石に少し冷えただろう、寝る前だけどな」
 そう言って皆にもトレイに乗せたそれぞれの好みのココアを差し出した。
 ルフィには大きめのカフェオレボウルにたっぷりと。
 ウソップには普通サイズでミルクを少なめに。
 ナミとロビンには少し甘めにしてオレンジリキュールを垂らしたものをデミタスカップで。
 ゾロには砂糖ぬきでブランデーを垂らしてある。
「うまそー!」
「ありがとう、サンジくん」
「うん、美味いわ。流石だなー」
「いい香りね」
 真夜中の男部屋が甘い香りで充たされた。ゾロは甘い匂いは苦手だが今ここでそれを言ったら袋叩きにあいそうな気もしたので黙っていた。まぁ窓も開けてあるししばらくすれば匂いも飛ぶだろう。そう思いながらぐい、とカップの残りを口にしたが思わず顔を顰めて片手で口元を覆ってしまった。誰にも見れらていなかったか、と顔を上げたらニヤニヤ笑いのクソコックと眼があってしまった。
「ごちそうさま、サンジ!すっごく美味しかった。ありがとう!」
 とびきりの笑顔でチョッパーが礼を言う。もう悪夢に怯えた様子は微塵もない。
「どういたしまして」
 煙草を咥えたまま皆が飲み物を飲んでいるのを眺めているサンジは心なしか楽しそうだ。返ってくるカップをトレイに受け取りながらニヤニヤしている。
「なんか、いい事あったのか?嬉しそうな顔してる、サンジ」
 不思議に思ってチョッパーが尋ねると
「オマエが元気になったからな」
 そういってつんっと頬っぺたを突つかれた。
 実際チョッパーを見ているのは楽しかった。ピンクのマシュマロを浮かべたココアをふうふう冷ましながら一生懸命な様子で飲んでいる姿はいかにも可愛らしく微笑ましいものだ。まぁ楽しいのはそればかりではなかったけれど。
「もう大丈夫だ!皆もごめんな。ありがとう!」
 ハンモックの上で立ちあがってぺこんとお辞儀をする。
 それがまた微笑ましいと皆の笑顔を誘う。
「それじゃ私達も寝ましょうか」ナミがロビンを促す。
「あ、俺も見張りに戻らなきゃ!」慌ててウソップも走り出す。
「長っ鼻。今夜の差し入れはもうないぞ。さっきのココアがそのつもりだったからな」
「おお!充分だ。さんきゅーな!」
 ばたばたとウソップが去っていくと女性陣も挨拶をして出ていく。
「じゃーね、おやすみ」
「おやすみなさい」
 最後にちらりとロビンがチョッパーを顧みるがそんな心配は無用とばかりにルフィと二人してVサインを繰り出した。くすりと笑いを漏らしてから手を振り彼女もナミの後を追いかける。
 サンジも「おやすみ」と一言告げて部屋を出ようとすると背中側から微かな音が聞こえた。
(カシッ)
 それは微かなサンジに聞かせるための音だったのでハンモックではしゃいでいるルフィとチョッパーは気づかなかった。
 ニヤリと笑みを浮かべて後ろも振り向かずにそのまま部屋を後にした。


「…オマエさっきのアレは一体何のつもりだ?」
 あれから暫くの後。キッチンではゾロとサンジが対峙していた。
 ランプの一つも無かったが月明かりが影を落とすほどに明るかった。
「イカしてただろーが」
 咥え煙草でニヤリと笑うコックはイタズラが成功した子供そのものだ。
「…なんかめちゃめちゃエロかった気がする…なんだありゃ」
「どわっはははははは!やっぱそう思うか?!やーやっぱオマエもそうか!」
 大っ成功!と腹を抱えて大笑いするサンジにばしばし背中を叩かれる。
「ってーな!だからなんだよありゃあ」
 息まで切らして笑っているサンジが答えを返すにはしばらく時間がかかった。そこまで笑うことなのか?とゾロはなんだか気に入らない。
 熱いココアに落とされた一粒のアーモンドチョコレート。最後に口に入ってきた小さな豆は甘い溶けかけのチョコレートから出てくるものだ。それは経験しないとわからない感触だろうか。実はゾロは少しばかり赤面してしまったのだけど。
「ありゃぁな、俺がちょっとばかし前に思いついてやってみたんだよ。我ながら吃驚したんだけど、やっぱエロいって思うよな?でも思わねーヤツもいるだろうからさ。
オマエはどうかなーって機会を狙ってたんだわ」
 やっぱコイツもエロかった〜!と、また上機嫌でだはだは笑っているサンジの頭を一つ叩いてそのままゾロは部屋を出ようとしたのだが後ろからぐいっと腹巻を掴まれた。
「んあ?」
 はっきりいって機嫌の悪くなりかけたゾロの声はドスまで利いたものだった、が笑いの残ったサンジは手を離さないままで、ずいっと寄ってきた。
「ちゃんと、聞いとけ。機会を狙ってたって言ってんだろ?」
「…なんの機会だ」
「…っかー!やっぱりな。そうだとは思ってたけどよ!」
 けっっ、とばかりに言い放って更にサンジは詰め寄った。
「今日が何の日だか考えた事もねーんだろ、このマリモヘッドが!」
「…きょう?」
 さっぱりわからん、と首を振るゾロにこれではまるで空回りしている片思いの少女のようだと軽く落ち込みながらサンジは煙草を灰皿に投げ入れた。
「でもまぁコイツはもうどうしようもねぇよな、知ってたけどよ」
 とサンジは苦笑してゾロの顔を両手で引き寄せた。
 静かな月夜。誰もいないキッチン。心地よい風と月明かりに落ちる影。
(シチュエーションとしては最高なんだが相手がコレだからなぁ)
 真剣な面持ちを作ってみるが眼だけは笑ってしまうのが自分でも抑えきれない。
「いいか?これだけは覚えとけ。3月14日にはオマエは俺に3倍返しをしなきゃならないってな」
 それだけを告げたサンジは唇寄せて、自分もアーモンド風味のバレンタインチョコレートを味わった。


FIN
■先日犬パロを書いて下さったるいるいさんのオリジナルノベル、

■がっつり頂いてまいりますた!(鼻息)

■書けば書くほど質の上がっていく、るいさんの文章にいっそサイトを作ってくださいと脅迫したい気持ちです。ゾロサンサイト増幅=しあわせ増幅。
■ほにゃあ〜vvv(陶酔) るいさん、ありがとうございました〜!

03/02/16

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