…本気?010511 Thanx!418hit for Yoshimi_u sama


「ウギャアアアアア!いちじょぉおおおぉさああああ―――ん!」

怪獣のような叫び声に、椿は仮眠からたたき起こされた。
医師として便利だと思う椿の得意技は、どんな場所でもすぐに眠れることと、覚醒が早いことだ。寝起きに強いというのだろうか。それでも、時計を見れば仮眠を取る為に仮眠室に潜りこんでから20分も経過していない事に憮然となる。
おい、お前等。いい加減にしろよ。
此処は文句のひとつも言わねばなるまい、とむっつりしたまま白衣を片手に、カーテンをあけて幾分声を荒げて言い放つ。
「おい、五代…ッ!いい加減に――― 一条?」
しつこいようだが、先ほどの鼓膜を抉るような、怪獣のような悲鳴が、この世の中の常識の通用しない男、五代雄介のものだということぐらいわかっていた。
その、五代の腕に抱きかかえられる様に、ぐったりしている蒼白の美貌―――高校のときからの友人、一条薫その人を見てさすがの椿も怪訝そうに顔をしかめる。
「五代、お前一条に何飲ませた。」
呆れ半分で訊ねれば、きょとん、としたように五代が涙とハナミズだらけの(椿談:汚ェ。顔拭け!顔!)ぐしゃぐしゃの顔をあげて、きゅーっと情けない音を出す。
「何も服用なんてしてませぇん!」
(そうか、まだそこまではしてねえか。)
ぼりぼりと頬を引っ掻いて、椿は唸る。
「じゃあ何やった?公衆の面前で一条の唇でも奪ったか?それとも押し倒したか?…ははあ、婦警どもに喧嘩売ったんだろ。『一条さんは俺のものです!』とか…ん?違うか?」
半眼で睨みつけられた問題児は、数々の前科を彷彿とさせる椿の言葉に、強気に反論できないまま癖のある唇を噛み締める。
「違います!違いますっ!」
「お前、またこいつんち押しかけて飯でも作ったんじゃねえの?結構繊細なんだからあんまりプライベートいじくるのは止めとけよ?もしかして椎茸食わせたか?あれはやめといたほうがいいぞ、失神するから。学生んとき無理矢理食わせたら教室で卒倒して、次の授業は保健室で可愛い女子からの手厚い看護も空しく、うなされて―――おい、五代。」
小刻みに震えだした五代の目がうつろなことに気付き、椿はごくりと息を飲む。
「五代、待て。落ち付け。」
「…椿先生は、一条さんと仲良しですもんね。俺の知らない一条さんとか、知ってるし…。椎茸がニガテな事も、一条さんはモテモテだから、女の子にも厚い介護とか…。」
「わかったから、変身だけはするな。ベルトはしまえ!」
「だって浮かんできちゃうんです!!」
「その青筋どうにかしたら消えるっちゅうねん!(ビシィ)
―――それより、一条ほっといていいのか?お前の大事な一条が息も絶え絶えに苦しんでるんだぞ!?」
「一条さ〜ん!」
全く、一条の事となると我を忘れる危険なやつだ。そこが可愛いのかもしれないが、命の危険を感じるとなると可愛いどころじゃ済まされなくなる…と椿は思う。
「おい、取り敢えず俺にみせてみろ。」
ぎゅうう、と力一杯抱きかかえられて益々顔色が悪くなっている一条をさすがに憐れに思い、そう提案する。が、可愛いけれど凶悪な青年は、まるで親から引き離されることを恐怖する子供のように一条に縋りついて離れない。
(懐かれたなあ、一条。)
そんな言葉で済めばどれだけ平和か。
奇しくも運命は、この風変わりな青年に―――未確認生命体と対等に戦える唯一の力を与えてしまったわけで、更に青年の心を左右することが出来る人間が、なぜか一条で。
確かに一条は、随分と整った容貌をしている。学生時代のころから、いや、椿が知らない幼・少年期からすでに一目を引いていたに違いない。
真面目で、実直。頑固で一途。ストイックという言葉が似合い、真摯だ。
…そして苦労性でもあると思う。
特に、五代青年に一目惚れされてから多難の相が彼全身を取り巻いているように思えた。
「で、何やったんだ。怒らないからお兄さんに話してご覧。な?」
ステート(聴診器)をぶらぶらさせて、椿は丸椅子に腰掛ける。
「グロンギが出て…一条さんが攫われそうになっちゃって…」
ぐずぐず鼻を鳴らしながら、五代が腕の中の宝物を更に締め付ける。一条が憐れだった。
「もうー!俺頭の中真っ白になっちゃって!一条さん、目立つし綺麗だし恰好良いし美人だからグロンギに狙われちゃうこと度々あって、俺何度も心臓が止まるかと思ったけど、あいつ!あいつ…ッ!よりによって飛ばされて朦朧としてる一条さんを…
…おっ、おっ
…お姫様だっこしたんです―――――――――ッ!!!

ステートが滑り落ちてつま先にあたった。しかし、痛みで涙をこぼすより、椅子からコントのように転げ落ちなかった俺を褒めてくれ、と椿は思った。
「俺の一条さんを!!俺の、俺の一条さんをよりによって!ムキィ!ウグ!ギャゥ!!」
いや、だから腕の中の一条を揺さぶるのはやめてやれ、五代。
「俺だっておんぶしかしたことないのに!一条さん、プライドの高い人だからお姫様だっこなんてしちゃったら絶対うなされるって…が、我慢してたのに…。うえっ。ぐすっ。
悔しくって悔しくって、俺、あいつに見せつけてやりました!!」
「…見せつけて。」
聞くのが怖かったが、聞かねばなるまい。
腹に力を入れて、椿は衝撃に耐えた。耐えてみせよう。
「一条さんを奪い返して、ラブラブを見せつけてやりました!!
ぎゅーってしてやりました!そりゃもう敵が慌てふためいて逃げ出すくらいに二人の仲の良さを、これでもか!これでもか!!と…!」
「…本気?」

耐え抜けなかった。

恐らく一条はそこで一度、意識を覚ましたはずだ。
そして変身してもなお憤怒のオーラを立ち昇らせる五代の姿に呼吸困難に陥り、その、未確認生命体と変わらない超人的な力をひめた両腕でこれでもか!これでもか!!と抱き付かれ、甘えられ、頬をなでこすりなでこすりさせられ、愛の―――いや、地獄の抱擁を丹念に受けた挙句…。
「頑張ったな、一条…。」
しみじみと、思わず言葉がこぼれ落ちた。
あの、グロンギをぶっ飛ばす腕で力いっぱい抱き付かれて、よく無事で。
「レントゲンと、あと内蔵破裂はしてねえか。骨がまた折れてなきゃいいが…」
「うわ―――ん!椿さんッ!椿先生っ!ねえ、一条さんは大丈夫ですよね?!大丈夫ですよねえ!?いちじょぉさ〜ん!きっとあんなグロンギにだっこされちゃったのがよっぽどショックだったんだ―――。」
「やかましい!!」
思わず診断書の入ったケースで頭を殴りつけ、椿は戦うお医者さんモードになった。
「オラァ!一条!お前もいつまでも寝っ転がってんじゃねえ!
五代ッ!お前もいつまでも砂○けバ○アみたいに一条にへばりつくのはよせ!」

お医者さんは思うのだ。
こんなやつらに、日本の平和を任せていいのか?と。

―――切実に。

アホで、しかも内容むちゃくちゃ。内容がないよう。
シャレになりません。タスケテ、一条さん。
五代君がアホで、一条さんが眠れる森の美女で、ツバーキーがキレてる。
そんなミもフタもなさすぎる話。
椎茸ネタは由基淋野と話してて生まれました。
シキヲ「一条さんは椎茸が嫌いなんだよ!だからオカマキノコ(ギノガのこと)を憎悪するのだ!」
おユキ「きなこのことも「なにィ?!きのこだと!?きのこの話はするな!」とか言うのな!」
シキヲ「ブラックジャックのピノコ…」
おユキ「お、お前!今俺が言おうとしてたことを!!(爆笑)」
シキヲ「シンクロすんなよ!(笑)なよのさ!」

一条「五代ッ!キノコは…キノコは食うな!ほ、ほ、胞子が増えたらどうする!?」

バッカで〜す。

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