犬はお好きですか?
★ 犬がきました。if... ★ | |
※注意※ このお話は「犬がきました。」シリーズの「もしも」設定になっています。 現連載の一年後の「if」なので、こうなるかどうかはわからない…といった曖昧な設定で成り立っています。 またナチュラルにラブラブなので、そういうのがあまりお好きでない方は見なかったことにしてあげてください。 シキヲ限界にチャレンジ。 んでは。 |
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携帯のアラーム音で目が覚めた。 サンジはむくりと起きあがり…起きあがろうとして重たい何かに阻まれて身動きできないことに気がつき、一瞬寝起きのぼんやりした頭が混乱する。 「ん? なん…これ… ……うおっ」 太い腕が絡むようにしてまとわりついている。 「―――………び、吃驚した…」 いつまで経っても慣れねえぜ、なんて言っちゃうのはちょっとした照れ隠しだ。 ゆっくりと、腕の持ち主を起こさないようにして自分の身体をそこから引きぬく。…と。体温が逃げたのを感じたか、腕は素早くサンジの手首を掴まえ、ようやくもぞもぞと動き出した緑頭が、 「…いま何時だ?」 まだ寝ぼけた声で聞いてくるのに対し、サンジは笑った。 「5時半。いいよ、寝てろ」 「今日"にちよう"だろ」 くあ、と大きく欠伸したゾロがサンジをじいっと見つめて言う。 「お前も寝てろ」 「あァ? なんでてめえに命令されなきゃなんねーんだ」 笑いながら軽くゾロの頭を蹴ると、不て腐れたような顔の男は、 「ご主人様。いいから寝ててください」 「サンジ様だろ」 「サンジ」 「…わあったよ。甘えんぼめっ!」 元々がたいの良かった男は、もうひとつの姿が成長を遂げるにつれ、精悍に、逞しくなっていった。今は人間の姿も犬の姿でも軽がるサンジを持って(咥えて)運べる程度になった―――サンジの愛犬の名前をゾロという。 そのくせそのゾロときたら―――子犬のときより随分と甘えてくるようになった、と思う。 「…へへへ」 「―――なんだよ」 不気味な笑いを浮かべやがって、と、ゾロの琥珀の双眸が胡乱げに輝くのを見て、またサンジはにへらと微笑う。「別にィ〜?」 「おい、サンジ。お前も眠いだろ?」 むくっと起きあがったゾロは、きちんとサンジに向き直り、そんなことを言う。 「今は五時半なんだろ? んで、今日はにちようだ。今日はお前は休みだって言ってたよな?」 「言ったな」 「じゃあ寝てろ」 「俺は俺のやりてーようにやんの」 「………」 ゾロの喉がぐるると鳴った。あ、これはいかんとサンジがとり直そうとする前に、獰猛な獣は喉を鳴らしてサンジに掴みかかってくる。 「忙しいだのなんだのって、おまえ最近全然休んでねえじゃねえか」 まるで仔猫をころんと転がすかのように簡単に押し倒されてしまい、サンジは内心このバカ力め!と相手を罵るも―――あまりに真摯な眼差しにぶつかり、思考も沈黙する。 「俺は寝なくても死なねェが、ただの人間のお前はそうもいかねえ。いいから、寝てろ」 優しく頬をなでられると、サンジの思考はふにゃふにゃになるから厭だ。 この犬は、本当に自分の弱点を熟知している―――生意気な半分ケモノのくせに! 「ん…ジジイが帰ってこいってうるせえしな…。最近お前もかまってやんねえで、マジ悪かったと思ってる」 腕を伸ばしてマリモ頭をぎゅうと抱きしめると、そんなことは別にいい、と生意気な言葉が返ってくるのだ。 「別にかまってもらわなきゃ気も狂うって程じゃねえ。子犬のときと一緒にするな」 「お前はちびっこいときからふてぶてしくって、ちっとも可愛げなかっただろ〜!?」 笑ってばしばし背中を叩くと、いてえいてえと声が返るのが面白い。 「ゾロ、だっこしろ」 「ん」 命令にきちんと答える躾のできた犬は、サンジに腕をまわしてぎゅうとする。 何だかおかしくなってサンジはぐりぐり頭をゾロの肩に擦りつけた。 「は〜♪ アニマルセラピー♪」 「…。今は犬の姿じゃねえぞ?」 「あ? どっちもおんなじだ、そんなの。今のてめえも、犬のてめえもゾロはゾロだろ?」 「―――わん」 人間の姿でわざわざそんなことを言い、ゾロの目が笑いながら近づくのが見える。 「くぅん」 「うひゃひゃ。可愛くねえ〜!」 目つきの悪い野郎の姿でそんなセリフを吐かれても、とサンジが爆笑すると、ゾロは調子に乗って続けるのだ。 「くぅん。くぅん」 「可愛くねえってば―――クソゾロ」 「わん」 「おい、犬のくせに犬ごっこすんじゃねえよ」 ゾロの舌が頬を舐める。 くすぐってえとか言いながらも、拒否しないあたりすっかりサンジもいかれてるのかもしれない。 なにせもう―――抵抗感が全くないのだから、始末におえないところまで来てしまったなあ、なんてしみじみ思う。 「いい子にしてねえと―――御褒美やんねえぞ?」 くっくとサンジが喉を鳴らし、やっとゾロは犬歯を見せて人語で微笑う。 「いますぐよこせ」 唇が合わさり、舌が絡む。髪の毛をぐしゃぐしゃにされて、おかえしに思いきり髪の毛を引っ張る。サンジの笑いがとまらないので、ゾロはその喉元に軽く歯型をつけた。 ロロノア・ゾロ。成犬、オス、一歳四ヶ月。 拾われて一年経過し、仲良くなりすぎてしまった二人は… どうやら平和に暮らしているようなのです。 |
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■大変失礼おばいたしました…(切腹) 02/08/17 |
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