★ 短編集。 ★
〜犬がきました 外伝〜

〜今日はお祭り、明日は天気!〜

「なんだ?! 地震かっ!?」
 飛び起きたゾロが…寝る前は確かに犬の姿だったのに、飛び起きた際は人間の姿になっている。
 片手ウチワを仰ぎながら仏頂面で煙草を噛んでいたサンジは、どんなことがあっても…サンジが思いきり抱き付くか蹴りをいれるかしないと飛び起きなかった犬を見て「ぶはは」と笑った。
「ありゃ花火だ。花火。近くに川があるから…そういや今日花火大会じゃなかったか?」
「ハナビ?」
「そこのベランダから外見てみろ」
 シャープペンシルで窓を指差す…上品とは言えない態度でサンジは不思議そうなゾロに教えてやる。
「うお、なんだありゃ」
「だから花火だって…そっか。お前初めて見るんだよな」
「多分な」
 ベランダから目を凝らしてよくよく見つめるゾロの横顔はここから見た限りでは無表情だが、目が面白そうに輝いている。
(尻尾があったら振ってるな)
 思わず笑いを堪えて、サンジは煙草を灰皿にぎゅっと押し付けた。
「だめだ。此処からじゃ半分欠けて見える」
 やや残念そうにゾロは溜息をついた。
「よし、じゃあ見に行くか」
「…"れぽーと"はいいのか?」
 振りかえったゾロは無表情だが、飴色の目だけ花火の切れ端を反射して輝く。
「てめェ、行きたいんだろ?」
 にやにやとサンジが笑うと、憮然とした様子でゾロが首を振る。
「すげェ行きたいってわけでもねえ。それに、おまえは"れぽーと"があるんだろう」
 ちゃんと勉強しろとまで釘を刺されて、生意気な犬め!とサンジは手近に合ったスリッパをゾロの青々とした頭目掛けて投げた。
「いで!」
「名投手だな、俺!」
「………」
「拗ねるなよ、可愛いやつめ」
「………」
 仏頂面をさらに顰めて見せた人間モードのゾロに対し、あえて「犬の」ゾロにする風に言ってみせるとことさら厭そうに顔をゆがめる。
(面白えな〜)
 最初逢ったときは、これでもかといわんばかりの無愛想だったのに。いや、今でもそれは変わりないが、表情が随分わかるようになったと思う。
 不機嫌だったり、楽しそうだったり。尻尾や目の仕草といい、こうして人間の姿での何気ない会話だったり。
「ほら、行くぞ。クソ犬」
「あとで終わらなくって泣き付いても俺は知らないぞ」
「レポートなんざ後回しだ。今日という日は二度とこねえし、今日の花火は二度と見られねえんだぞ。ほら、早くしねえと首輪にリードつけて…」
「わかったから、てめえもその恰好どうにかしやがれ」

 サンジの恰好は酷かった。なにせ女物の浴衣に袖を通して、下衣はハーフパンツなのである。どこの奇人かという恰好は実家から「間違って」送られてきた浴衣が原因で―――
「どこをどう間違ったらレディ用の浴衣を送れるんだよ」
 しかし身丈は足りないものの、寸法は申し分なかった。当初ショックを受けたサンジも着替えがないので部屋着かわりに羽織ることが多くなっている。
 最も、女物だろうが金魚に花柄だろうが、元々人間社会の常識とは遠いところにいる犬にとっては「多少へんなかっこ」ぐらいなもので注意する必要もないだろうと思っていた。
 …ベランダから、花火大会に向かって急ぐ浴衣姿の少女達を見なければの話だが。
「さすがにレディの恰好で外に出たら女装趣味と間違われるな」
 げらげらわらっているサンジは、ついにレポートに追い詰められてハイになっているようである。
「別に大丈夫じゃねえか?」
「あ? なんか言ったかコラ」
「言ってねえよ。早くしねえと俺一人でハナビ見に行くぞ」
 さっさと下駄に足を引っ掛けたゾロに対し、大慌てでサンジは浴衣を解き始めた。
「アホ! ご主人様をおいてくバカがどこにいる! ちょ、ちょっとま…うが!」
 脱ぎ捨てたはずの浴衣が足元に絡まって、そのまま畳に落下して、ゾロはあーあと溜息をつくのだった。


〜ハロウィンネタ〜

御主人様(以下S)「おい、駄犬」
わんこ(以下Z)「あァ?!なんだと?」
S「もうすぐハロウィンなんだvvv」
Z「はろういん?」
S「つーわけで、ほれ! 変身しろ!」
Z「何に?」
S「アホかてめェ! 変身っつったら狼男だろ! うぉ〜でガンスだろ!?」
Z「いや、なれねぇし」
S「犬にも人間にもなれんだから、狼男ぐらいなれる! がんばれ!」
Z「いや、頑張っても無理だし」
S「なんでだよ〜! 俺がクールなヴァンパイアvv お前が小汚い狼男! ふっ、ハロウィンでの仮装パーティでの優勝賞金はがっつりいただいたも同然! そしてレディ達の視線は俺に釘付け!」
Z「へー」
S「なんだそのやる気全くこれっぽっちもないです、みたいな返事は! しゃきっとしろ! しゃきっと! 決戦は近いぞー!」
Z「いや、だから、なれねえって…おい、聞いてるか?」


〜犬とご主人様〜

サンジ(以下S)「おれ、トップブリーダーになれるかもしれないな!(鼻息)」
ゾロ(以下Z)「や、無理だろ(しれっ)」
S「なんでだよ! こんなにわんこを愛しているのに!」
Z「(まじまじ見つめ)」
S「い、いや! てめェをって言ったワケじゃねえんだぞ!?
 犬全般をだ。ラブだ。分るな?」
Z「わかるけど、この前向かいの家のラブラドールに突進してっただろ」
S「跡部さん家のティファニーちゃんか! 可愛いよなっ!」
Z「嫌がってたぞ」
S「えッ!」
Z「三軒隣のチワワ、無理矢理抱きかかえてたろ」
S「あ、ああ、小田切さん家のカオルちゃん。だっこするとぷるぷる尻尾がふるえて可愛いんだ〜v」
Z「怯えてたぞ」
S「ぬあっ!?」
Z「商店街の眼鏡屋のビーグル、撫でようとしてただろ」
S「おお! 我が心のスィートハート! 歌丸ちゃんだ!」
Z「おまえ、あれ、威嚇されてたぞ」
S「―――んなーッ!」

Z「あいつらに頼まれたんだ。お前をどうにかしてくれって」

S「ば、バカな―――ッ!(なーっ なーっ なーっ)」←エコー

◎日記に書いてた散文です。

02/10/22

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