Hey! Brother?
 「アタシ?アタシんちはねーアニキが一人!
ほら、前も話した〜!マモノに魔法攻撃しようとしてアタシにサンダーぶっ放したアニキだよ〜」
 思い出したらゾッとしたようで、微かに肩をブルブルふるわせながらリュックが言えば、
 「私に兄弟はいないわ。知っての通り、ユウナにもね。」
 「でも、ルールーやワッカさんが、わたしにとってはお姉さんとお兄さんだったから。」
 少しはにかむように、その慕わしい姉の言葉を次いで言ったユウナに、ルールーが優しく微笑った。
 「…そうね。私にとっての兄弟は、ユウナだわ。」

 「ふ〜ん。そぉッスか〜。」
 固形ビスケットを齧りながら俺は頷いた。
 …どんな話からだったかは忘れたけれど、こうして焚き火を囲んで雑談を初めて―――いつのまにか家族や兄弟の話しになった。
 無口なキマリに話題をふっても、答えが返って来ることは期待してなくて、それを上回るほどのそっけなさを持つアーロンに関しては問題外、な話題だったかもしれない。

 それとなく聞いた、兄弟―――家族のこと。そうだ、言い出したのは俺自身。
 『アニキ』って呼ぶ時の、血縁というより腐れ縁的な、宿命のライバルを相手にするような…それでも相手をしっかり認めているリュックの表情。
 ユウナがルールーやワッカを、ルールーたちがユウナを見る時の…甘えないように、とか。甘やかさないように、とか。それでいてあったかい表情。

 んー。なんつうかさ。
 やっと、つい最近…グアドサラムで母さんの幻影に会って、アーロンから親父がとんでもな〜く不器用な男だったってのを知って…。
 家族ってのを、前向きに考えられるようになった気がしたんだ。

 俺にとっての家族は…野蛮で意地悪な親父と、親父に夢中の母さんと。…それと、多分、10年間俺のこと見守っててくれた、アーロンなんだと思う。
 でもさ!
 どんなにアーロンが親父より若いっていったって、俺と年の差18歳ッスよ?
 兄弟っつーより、やっぱホントの親父より、親父っぽかった気がする。
 おっさんとか言ったら、あのおっさん…アーロン拗ねるからさ。言わないでおくけど。

 兄弟。
 いいなーとかって思うッスよ。
 ほれ、兄ちゃんとか、弟とかいれば…淋しさとか紛れたかな〜とか、ちょっと、思うッス。うん。
 アーロンは…多分、俺が必要以上に甘えて、べったりにならないようにって思ってたんだろうな。
 必要以上に干渉しない。
 それは、俺の為だったんだなって、今になって…スピラに来てなんとなくわかった。
 っとと。アーロンの話しになっちゃったなあ、チガウチガウ。兄弟のこと!
 いつまでもメソメソしてたら親父が海の向こう側で俺を笑ってる気がしたし、アーロンに「また泣いているのか?」って言われるのがシャクでさあ。
 だから、俺明るくなったッスよ。開き直っていろんなヤツと接して見れば…せまっこかった俺の世界がちょっとだけ広がって、だからトモダチも多かった。
 でも、やっぱトモダチは夕方になったらバイバイしなきゃいけないしさあ。毎日遊べるってワケでも、泊まりっこすることもできない。俺んち、誰もいないしさ。
 兄貴とか欲しかったなあ。弟とかいたら、俺むっちゃくちゃ可愛がったのに。

 兄貴。そういえば、ワッカって俺のことどうも弟扱いしてる気がする。
 ん〜。チャップの代わりだとは思って無い。ワッカは正直に…いや、ウソつけないもんな、ワッカ。
 うん、正直に言ってくれたよ。俺のこと見た時内心すっごい驚いた〜!って。
 
 「一瞬、チャップが帰って来たんだって錯覚しちまった。……スマン!
 でもよ、ホントに…期待しちまったんだ。海から来たシンにやられた弟が海からまた帰ってきたんだ〜って。
 …今は違う。お前はお前。…仲間だもんな!」
 
 へっへっへ。
 俺も嬉しかった。ただ俺だって戦闘慣れしてきたのに、ま〜だ「無理すんなよ」とか「大丈夫か〜?」とか言ってくる。絶対弟扱いしてるッスよ、ワッカ!
 …半分、ちょっと、違うかな。
 俺、甘やかされるの好き…かも。
 親父はああだし。母さんもああだったし。
 アーロンそっけなかったし。
 その分構われると…その…ああ、もう、嬉しいんスよ!!
 だから…だから…

 「俺も兄弟欲しいッス!」
 突然叫んだ俺にビックリしたようにユウナがきょとんとして、リュックがほえ〜と呟く。
 「…唐突だなあ。」ワッカが笑えば、
 「だから、ワッカ!俺の兄貴になって!」
 「ぶ―――ッ!」

 「「「ティーダァ!?」」」

 吹き出したのはもっちろんワッカで、後のは女性軍の大合唱。
 でも俺は本気ッスよ〜!

 「だって…俺ずうっと兄弟欲しかったんだもん。」
 「だもんじゃないわよ。」
 ルールーのビシィっとしたツッコミが入った。
 「みんな兄弟いてズルイッス!
  ちゅ〜わけで。ワッカ……兄ちゃんって、呼んでイイ?」
 「てぃ、てぃ…」
 しゃっくりを失敗したようなワッカに俺はにじり寄った。
 「それとも兄貴の方がいい?」
 にじにじ。
 ワッカはたじたじ。

 「諦めろ。」
 意外なとこからフォローが入った。
 …アーロン。興味なさげに自分の太刀を磨いていたんだけど、俺は気づいてた。ワッカが吹き出した時、ビミョーにアーロンの肩が震えてたこと!
 「―――無駄だ。頷くまで駄々が続くぞ。」
 …そういや昔、アーロンにも突拍子のないこと言って困らせた気がする。
 若気の至りッスよ!…もうやってない…やらないし。多分。ウン。

 「…わ、わかった。好きにしろって。」
 根負けしたワッカにリュックが容赦なく笑い出し、ユウナがほーっと溜息をつく。
 「やったあ!」
 兄ちゃん、兄貴、お兄様、兄上、おにい、兄者、あにさん…んっ、やっぱ兄ちゃんだよな〜。
 呼び方を決めたら即呼ぶ!
 これって、あったりまえのことだよな!?

 「兄ちゃん、大好きっ!」
 「ティーダァァ!?」
 背中に飛びかかった俺に仰天したワッカが、勢い余って地面に顔面をぶつけたのは…。

 …若気の至りが続いてるってことで!


 ※※※※

 余談 仲間達の雑談

 ルールー「さすがの私も…あれには参ったわ。」
 リュック「えー。いいと思うけどなあ。ティーらしくて。可愛くない?」
 (一同 沈黙)
 ユウナ「え、ええと。アーロンさん。ティーダくんって…昔っから、その…」
 アーロン「…ああ。(沈痛)」
 ワッカ「うう…。(デコをこする)」
 ユウナ「ワッカさん、大丈夫?」
 ワッカ「大丈夫大丈夫!ちいっと油断しただけだ。(ややぎこちなく)」
 リュック「ティーってば、ちっちゃいころからメンタル的にどっか〜んな爆弾投げるのが得意だったのかなあ?」
 アーロン「………ああ。(重々しく)通じるまでは駄々をこねる。不て腐れる。拗ねる。いじける。
 最後には、泣く。(悟り切った眼差し)」
 リュック「ひょえー。」
 ワッカ「泣く…泣かれると困るな…(よわよわ)」
 アーロン「あれが飽きるまで付き合ってやるんだな。…お守りは大変だぞ。」
 ワッカ「う、うううっ。る、ルー。」
 ルールー「いやよ。(スパッ)私を巻きこまないで。」
 ワッカ「ユウナ、リュック!」
 ユウナ「(にこ〜)」
 リュック「ごっめ〜ん!」
 ワッカ「キマリィ!」
 キマリ「ティーダは、ワッカを兄と認めた。兄としてワッカはティーダを面倒みてやる義務がある。」
 ワッカ「なんじゃそりゃ!」

 ティーダ「あ〜!ワッカ、こんなところにいたッスか!
 一緒にブリッツの練習付き合ってくれるってゆったじゃないッスか〜!(ほっぺ膨らまし)」
 ワッカ「んげ!そ、そうだったか!?」
 ティーダ「…しょうがない兄ちゃんッスね。もー!
 行くッスよ。ね、兄ちゃん兄ちゃん!!」
 ワッカ「…ヒョエェ…」

 ※※※


 
■FFX初SS…がこんなんでスイマセン(喀血)
■ティーダは勿論、ワッカさんとアーロンさんがトクベツ好きなのでこんな…こんな…(沈痛)
■勿論、他のメンバーも大好きッス!!!
■…イイワケッスね。(スイマセン…)
■なつこいティーを書きたかったんです…それだけなんです…っ!
■それだけなんですぅ〜!(とんずら)

010926 SHIKIWO 198


→とんずら← 

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