『君を想うよ?』

 例えばキュートなレイディなら、まず唇だね。次に爪。小さくて愛らしいのがいい。
 フェミニンな彼女なら立ち姿。足はすらりと長いと目線を追うのにドキドキする。
 セクシー系なら言わずもがな、その睫毛。目配せの仕方にときめくね。
 でもさ。そゆこと言うとねェ。仲間の賛同は少ないんだよねェ。
 酷いと「変態くさい」だの「エロい」だの!
「欲望丸出しで、見てらんねェ」だの!


 いやあ、確かにね。
 俺の趣味とか、好みってゆうんざんすか?
 多少、その、直接的ではあるとは思います。ハイ。


 オンナノコは可愛いじゃあないですか。
 レディに生まれたって時点で、もう俺の中じゃあ至宝の価値アリなんですよ。
 なんていうのかなあ。どんなに強くても、弱くても、性格がちょっと難ありでも、俺のパートナーになってくれる可能性はどの子にもあるわけでしょ?
 俺を怖がらないでいてくれる彼女、いるかもしれないでしょ?


 俺の名前はジェノス。時の番人に属する、糸を使う―――暗殺者。
 だからね。ほら、ボディシャンプーでも、アフターシェーブローションでも、香水でさえ消せない、独特の匂いが俺の身体には沁み付いてるのです。
 真紅の匂いがね。
 人間ってのは以外に―――勘が強いんだ。六感って云えばいいかなあ?
 本能に近い部分がね。どんなにケーハクでナンパな感じでにへらにへらだらしなーく近づいても、わかっちゃうところがあるわけ。特にオンナノコは敏感なのね。
 へたれな犬と見せかけて、実はオオカミなコワーイ男の本性を見ぬいちゃうってわけです。
 俺の場合は、性質悪いでやんすからね。
 笑って、とりあえず、死体の山を積み上げちゃうもんね。
 そんな光景―――見れる?
 普通の彼女は、泣いちゃうよ。震えて助けてっていうよ。
 いいや、その前に俺に怯えて―――逃げる、だろう?
 そんなことしない彼女がいるかなあ。
 きっと気丈にふるまって、堂々と視線を返してくれる素敵なレディ。
 ああ、セフィ姉は除外ね。あのひとは特別過ぎるよ。それに俺にはどうにも、勿体無いっていうかおっかないっていうか。


 ―――いたらさ。惚れるしかないと思うんだけど。


「ジェノス!何してんの!」
 怒って頬を紅潮させる君がいい。
「はいはい♪リンスちゃんのためなら何処へでもぉ〜♪」
 冗談ばかり!と怒って肩を怒らせる君。ちいっとも優しくしてくれないし、笑顔だって希少価値だ。参った。メロメロ。降参。すごいよ、君は。
「もう…。ほんっと、お調子者なんだから」
 でもね、ほら。不意に目元だけ和ませる彼女が―――飛び切りコケティッシュで、飛び切り無邪気なの。俺は知ってしまった。
 そーんな無防備な顔していいんですかい、リンスちゃん?
 餓えたオオカミ的に、もうドキドキしそうな心拍数隠すの、大変なんですけど?

 居たからね。惚れるしかないでっショ?

「リンスちゃ〜ん」
 視線を合わせて?
 もっと俺を見て?
 目を逸らさないで?
 強気に見返して?
 俺に飲まれないで?
 撥ね退けて?
 気丈な視線で?
「―――うひゃ。たっまんない」
 ドキドキするよん、ハニーちゃん?


 オオカミは死ぬほど、君を想うよ?



■うちの相方が黒猫サイト(サークル)やってはるんですわ。
■私も一応黒猫は好きで、読みはするものの正直創作するまでに至らないというか…(苦笑)四苦八苦しながらって感じです。
■ジェノっさんは凄い好きなんで。(あんな軽薄そうなナンパキャラお約束すぎて素敵!)←バカにしとんのか……ああもうジェノっさん最高!もっとへたれて!
■あとトレインさんと絡んでくれれば云うことナッスィングです。えへ。
■言わずもがな、相方アケコに捧げます。
02/03/19

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