FOR MIKINOsama////20010501.shiki presents///
【INVISIBLE】

HEY,Baby. My sweet honey.
Do you love me?
I miss,
I miss,
I miss you.

I mistake.

I have not noticed invisible.

―――It's a fool.

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++




ドコ、見てる?



「ナナハラ。」
声は受信されることもなく、見えない壁に阻まれる。
「ナナハラ。」
ちょっと低めに、威嚇する様に―――あるいはあやす様に優しく。
声をかけられた当人ではない、周囲の人間が、そんな声色に微かに頬を染めカオを逸らす。
例えば、頬杖ついて隣を陣取った豊が。
例えば、机に軽く手を置き、沈黙を保つ杉村が。
視線の先は追わずとも理解る。
腹立たしくなるから、そちらを見ないだけだ…あるいは、腹立たしくなるであろう、と予測出来る事自体を根本から無視したいのかもしれない。
だから甘く尖った声を出す。豊が頬を染め、杉村が軽く眉を寄せ、周囲の少女たちが軽く騒ぐ程度の。
それぐらい、色んな意味に取れる音。
「―――シュウヤ。」
「えッ。」吃驚したように瞼が震え、ようやく『ナナハラ』が顔をあげる。
「ゴメン。」
反射的に『ナナハラ』が謝り、少し困惑した様に首を傾げる。
「悪い、三村。何か言った?」
申し訳なさそうに眉が下がり、
「ぼんやりしてた。」
「見てりゃワカル。」
皮肉っぽく口元を歪めた、そのホントの意味なんて気付かないんだろ。
ムッとした、次の瞬間ひどく、ばつの悪そうな表情をした『ナナハラ』を見て、嗜虐的な感情が湧きあがった。
「そんな目ェしたって駄目だぜ、カワイコちゃん。
あんなに大事なハナシしてやったのに……聞いてねぇんじゃなあ。」
「えッ。」再度瞳を大きくした『ナナハラ』を見て、くっくと咽喉で笑えば、何も言わずにいた杉村が「三村。」と呟く。
(あまり七原をからかうな、か。)
ひょいと肩をすくめて、第三の男は微笑った。
「三村?」
かえって戸惑いを深めて揺らいだ、『ナナハラ』の―――七原秋也の、頼りない眼差しが少し可笑しかった。



ナニに、恋した?



軽く顎を引いて、視線をあげた桐山にヅキ―――月岡が不思議そうにきょとんとする。
「あら、どうしたの?桐山君。アタシ、何か悪いこといっちゃったかしら?」
「いや。」
短い否定と共に立ち上がった長身に、沼井が即座に同じように後を追う。「ボス、何か。」
「何でもない。」
低い応えに、余計取り巻きらは困惑する。
桐山の雰囲気がほんの少し――いつもと違う事に彼らは戸惑い、沼井は軽く下唇を噛んだ。
「三村―――。」
渡り廊下を占領する桐山達のグループを、冷めたような目で見つめていた『要注意人物』の存在に沼井が喧嘩を売るように拳を固め、
「充。」絶対的な支配力を持つ音に、しばし葛藤し、悔しそうに舌打ちする。
「三村君じゃない。ヤダ、アタシたち見られてたのかしらね。」
どこか嬉しそうな月岡に黒長と笹川が飽きれた声をあげ、桐山は無表情に目を伏せる。
「あ、七原じゃん。」
「秋也ちゃん?」再び瞳を輝かせた月岡を無視して歩き出した桐山に、沼井は驚いて声をあげた。
「ボス、待ってください。何で…」
無言で一瞥を投げられ、残された4人は途方にくれたように顔を見合わせる。
ボス、と呼んでいても桐山を理解するのは難解だ。
彼の興味を留めておけるものがあれば、利用するに越した事はない。
だが―――そんなものが本当に存在するのか、と彼らは逆に沈黙する。
そんな彼らを空気の様に無視して、足音も立てずに、音もなく無臭の存在は静かに歩き出す。止める事ができないことを知っているからためらわず、また止めようとしてもとまらない。

彼には躊躇がない。

「桐山―――。」
凍り付いた頬が、緩く融けて笑顔になるのを、桐山は見つめる。
「三村、知らないか?」
笑っているのに、その大きく感情豊かな双眸が今にも泣き出しそうに見えるのは、何故。
顎を逸らして、彼が消えた階段を指差す。
「…サンキュ。」
何か言おうとして、咽喉につかえたように言葉が出ない現象。それが目の前に居る七原秋也には起きているらしい―――そして、驚いた事に桐山自身にも、そんな感触があって。
「行け。」

彼には躊躇がない。
―――その筈だった。それでも、
何故止めようとしたのか……理解しがたい現状に、沈黙する。



コレは、どんな感情?



昼休みはちょっとした鬼ごっこだ。
ふらり、と姿を消す彼の行動を完全に把握しているものは居ず、探しまわっていたらいつのまにか教室に戻っていて、
「よう、七原。俺を探していたのか?」
なんて知った風に笑う―――三村信史。
今朝から少し御機嫌ナナメの彼に対し、こうして探していても何を云ったらいいかわからない―――と、秋也は思う。
第一何を弁明すればいいのか。よほどの大事なことかと思えば、「シンジはシューヤをからかってただけだよ!」とのんびり笑った豊の言葉に拍子抜けする。
授業が終わって悩みながら三村の席を振り返れば、彼の姿はとうになくて。
喧嘩でもしたのか、と心配そうな幼馴染に笑顔で話があるだけだ、と出てきて15分以上探しているが当人はまだ見当たらない。
その途中、網膜に焼き付くように、圧倒的に秋也の中を貪り食った存在を思い出して…指先が熱くなる。
心を制圧されたみたいに、じんわり、まだ、残る。
誤魔化すように溜息を吐いて、秋也は辺りを見渡した。
「保健室、音楽室…図書室、体育館―――えーと、他には。」
指折り数えて、窓から外を見つめる。
広がる空は青空ではなく、むしろ今にも泣き出しそうな曇天だ。
こんな日にはグラウンドにはでないだろう…けど、気になる。
外気に触れられる場所。
「―――屋上!」
指定の上履きの踵を踏み潰して、ダッシュで階段を駆け上がる―――運動神経には自信があるから―――屋上の扉の前で、一旦呼吸を整えて開けて見れば案の定、彼は手すりに寄りかかるようにして、曇天を見つめていた。
「三村。」
一文字に結んだ唇と、酷く気だるげな眼差しに、明るくウィットの飛んだ友人の気性は見当たらない。それでも、この表情こそが三村信史という男の本質なのだろうか。
「よぅ。」
ニィっと唇を持ち上げた彼に、ただ、息を吐くのすら辛い思いを覚える。
「探しちゃったかな?」近づいてきた腕が伸び、無造作に頭を撫でられる。
「桐山、見てた?」
不意をつくように、同じ音階で云われて凍り付く。
「みむ…。」
額と額をこつんと合わせて、薄く笑う。
「キスされたくなかったら、逃げろ。」
呼吸も止められる。
「―――アイツみたいに、お前を征服したい。」
雨が涙みたいに頬を叩いた。


「Hey」
濡れた頬を指で拭われ、秋也は我に返った。
「It's JOKE.Sorry,my dear」
吐息のように紡がれる言葉が、雨より激しく秋也を打つ。
(三村…)
「三村、俺。」
「修学旅行終わったらでも。」猫みたいに笑って。「選んで?」
ドッチか、選んで?

びしょ濡れになりながら、ヒラヒラ三村が手を振る。
(選ぶ…)
茫然となりながら、秋也は目を閉じた。
すべてを不可視にするように。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

「俺はバカかよ。」
唇は動かない。それでも脳裏に閃いた自嘲に、笑ったような感触。
(せめて、やっぱりスゴいキスでもしとけばよかったな。すげえディープなやつ)
流れ出した不味い味と、ぼやけ始めた視界にうんざりする。
どちらにしても、もう返事は聞けそうもない。残念。
愛してるって、云って。

後で選択を強いられたあいつが、苦しまなきゃいいな。
そう思って目を閉じた。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

HEY,Baby. My sweet honey.
(ヘイ、ベイビ。俺のカワイコちゃん)
Do you love me?
(お前は、俺を愛しているの?)
I miss,
I miss,
I miss you.
(俺はミスばかりしちまった。お前を恋しく、思う。)

I mistake.
(なんでドジだよ)


I have not noticed invisible.
(そう、あの見えないライバルを失念してた)
―――It's a fool.
(―――俺は、馬鹿か?)


I'm invisible.
(俺は見えないモノになる)
I'm not reflected in your eyes.
(お前の目に映ることはない)
―――Never…
(―――決して、ない。)

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370Hit.JUSTNUMBER贈呈品。みきの様のリクエストで「桐に惹かれつつある七をみつめる三村(B×7←3)」とのこと(笑)ウーン出来たでショウか!謎です!そして英文テケトーです!読める人は読むな。(殴)誰かエイゴ教えて…。つーか暗い…。バトロワで明るい話となりますと、素っ頓狂なギャグになるから…夢壊れるから…。(遠い目)


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